ははーん、人生模様が現れるゲーム、っていう感じですか?
お父さんは、美術の先生なんですって。なるほど、人生模様・・・。
わかっても、わからなくても、
成功するセオリーや失敗に通じるタブーは、ここにあります。
それが家にあるということが、励みになるし、心強いのです。
「でもマスター、マスターみたいに四段とか、五段とか、
精通しないと、そのセオリーって、わからないもんでしょ?」
「いやとんでもない。実は私、別に強い方ではなくてね。初段くらいかなあ。
でも、どんな心得違いをしたから負けた、っていうのは、経験豊富。」
マスターはこう言いきってけらけらと笑います。
「ところで、これは、何ですか?」それは、箱の中に残って転がっていたもの。
2色六角柱
3面を黒く塗った、純金の六角柱です。
(純金、というのはあくまでも設定上です。)
これを転がして、ゴールド面を出せたら先手。
でなければ転がした人が後手。
最初、どちらから動かし始めるか。
実力勝負のまほうじゅで唯一、運の部分です。
お母さん、細かいところまで見てましたね。
すっかり長居してしまいました。と、ご一家が帰る時間です。
みなさん、大満足なお顔をされてたので、なによりです。
樹里亜ちゃんを定期的に習いに通わせるか、真剣に考えてくれるそうです。
おじいちゃんがいい笑顔していました。樹里亜ちゃんと手をつないでいます。
「おじいちゃんの方が、先生より強い。」
という樹里亜ちゃん。おじいちゃんが照れくさそうに笑います。
「あらあ、じゃ、先生、立場ないですね。今度、試合しましょうか。」
「またあそびにきます。」とか笑って言い合い、その日は別れました。
さっき会ったばかりの店主と客、ずっと前からの友達のようでした。
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ひと口、深いりCafe
先生とも、おじいちゃんとも戦った樹里亜ちゃんは、
おじいちゃんの方が強い、って感じたみたいです。
先生のメンツのためにちょっとだけ言い訳しましょう。
こんな時、マスターの勝負は、要領やおもしろさをわかってもらえるかどうか。
ひよこをさっさとやっつけて玉を奪って強さを誇示しても意味ありません。
こっぴどく負かして、こんなゲーム、もう見たくない、と思わせたら、むしろ負け。
必ずしも、ゲームで勝つことだけが「勝ち」ではありません。
強い人の模範的な試合運びを見せて、少しでもわかってもらうように。
多少でも、長い試合ができて、少し覚えれば勝てるかも、とか思ってくれたら
普及を目的にした人にとっては、その目的を達成した「勝ち」。
おじいちゃんとも、次は対戦してみたいですね。
またのご来店、お待ちしています。
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